お風呂にて



昨日いつものように小二の末っ子と一緒にお風呂に入る。湯量が多いのでこぼれないように、湯船の外に両手両足を出していると、末っ子もそれを真似る。二人ともそのままの格好でこんな話をした。

「ねえねえ、お父さん、お父さんは何でお母さんと結婚したの?」

「うーん、一言で言うと『たまたま』かな」

「で、よかったと思う?」

「うん、当たりだった」

「外れだったらどうするの?」

「我慢するか、離婚するかだな」

「お父さんならどうするの?」

「離婚だな」

「離婚してどうするの?」

「二十歳ぐらいの人ともう一度結婚するな」

「無理でしょ」

彼は聞くんじゃなかったという表情でそう言うと、湯船から出て身体を洗い始めた。ちょっと寂しい。