元気寿司と奈良の鹿



ほろ酔い気分で「明日おごってやる」と口約束してしまったようだ。息子たちにせがまれて無理やり回転寿司に連れて行かされた。半田のOAシステムプラザ横の元気寿司。ここは一皿百円均一なので、皿を取るときにあれこれ口出ししなくて済むのはありがたい。我々夫婦と子供たち四人、私の母親と七人で出かける。

昼二時過ぎなので待つことなく座れた。テーブル席二つに別れるよう勧められたが、6人がけのテーブルに詰めて座る。やはり皆で一緒が一番。席もそれ程窮屈ではない。座ってお茶や醤油の準備をするまでもなく、すぐさま皿に手が伸びる子供たち。見る見る空き皿が増え始め、目の前にどんどん積み上がって行く。しまいには皿の壁で向いに座る子供たちの顔が見えなくなる。最後にデザートを取らせる。冷静に皿を数えると74皿だった。さらに寿司を食べようとしている中一の長男を制してお勘定を頼む。長男は不満そうに皿を一瞥して一言。

「今日はこれぐらいで勘弁してやるか」

店を出るとき、嫁さんがなかなか来ない。私が払うのを待っているようだ(笑)。頼み込んでワリカンにしてもらう。

連休最終日に遅ればせながらロード・オブ・ザ・リング王の帰還」を見に行く。一人小六の次女だけが「怖いから」といって別行動でピーターパンを見る。

やはり素晴らしい映像美。旅情美豊かな一作目「旅の仲間」も、凄まじい戦闘摸写の二作目「二つの塔」もそれぞれ素晴らしかったが、それらを兼ね備え、さらにクライマックスでカタルシスが得られる完結編「王の帰還」はやはり圧巻だった。最後の二十分は涙が止まらない。

しかし、エンディングテーマが始まると次々に席を立つ観客たち、前をざわざわ通るのでせっかくの余韻が大無し。三時間半の上映時間のせいかトイレに行きたいのか?帰りたい人たちが立ち去ってからゆっくりとアニー・レノックスの「Into the West」を聞きながら余韻に浸る。やはり映画はエンドクレジットが終わるまで見たいものだ。

我が家では今、末っ子は「奈良の鹿」と呼ばれている。「もう『奈良の鹿』は寝たのか?」「うん、もう寝た」みたいに。それは、先日BSでロード・オブ・ザ・リング「旅の仲間」特別版がTVで放映されたときのことだった。

ホビット四人と旅をする人間の王の末裔「アラゴルン」が、食料にする為鹿の親子を仕留め、子鹿を担いでボビット四人が焚火をしている場所に向かって歩いているシーンの時に小三の末っ子がこう言った。

「あれって・・・奈良の鹿だよね」

たぶん、そんなことはないと思うぞ。