癒し系の子供達



最近仕事が忙しく、残業がかさんでいる。遅く帰ったとき一番辛いのは子供たちの顔を見たり、話を聞いてやれないことだ。

昨日も遅くなり、そっと風呂に入り、息子たち(中一と小三)の部屋に行ったら、まだ電気が付いているので、そーっと覗いてみると、二人で布団の上でふざけているではないか。「やったっ」っと内心思いつつも威厳のある顔で「ただいま」と言いつつ二人の間に割り込んだ。そして話を始めた。

「今日な、お父さん辛いことが有ったんだ」(私)

「なになに、聞いてやるから何でも話してみなさい」(長男)

「そうそう、話してみなさい」(末っ子)

「実は今日、遅くなって腹が減ったので、帰りに回転寿司に行ったんだ」(私)

「ふんふん、それで?」(長男)

「一人でずっりー!」(末っ子)

「給料前でお小遣いが少ないので、安い皿を狙ったんだ。鉄火巻百五十円を食べて、シメサバも百五十円、イカが百円は安いなあと思いながら食べ、シンコが百円、縁側が百五十円、そして海老が回ってきた」(私)

「それで?」(長男)

「俺も食べたいなあ」(末っ子)

「メニューを見たら海老は百五十円とあったので、食べたんだ。これが、身が厚くて美味しかったなあ。そして、お茶を飲んで俺は勘定を頼んだね」

「・・・八百円だね」(長男)

「俺も食べたいよう」(末っ子)

「そしたら、バイトのお姉さんがなんと『千百円になりますぅ』と俺に言ったんだ」

「なんでなんで」(長男)

「・・・・」(末っ子)

「思わずメニューを見直したら、メニューの一番下になんと『特上車海老四百五十円』と書いて有った!!」

「ギャハハハハハ」(二人)

「ショックだったけど俺は冷静に金を払ったね」

「まあいいじゃん、特上車海老、美味しかったんでしょ?」(長男)

「今度連れてってよ」(末っ子)

しばらくふざけた後ログハウスに向かい一人で眠ったが、たっぷり癒されている自分に気づく。次の朝、小六の次女にも話してやろうと思い、こう言った。

「なあ、昨日お父さん辛いことが有ったんだ」

「どうせ海老の話でしょ?」(次女)

「俺もうお前に話したっけ?」

「昨日眠れなくて起きていたら隣の部屋から聞こえてきたの」

一人で布団の中で笑っている次女の姿がしばらく頭の中から離れなかった。