怒り爆発



昨日、何年振りだろう、溜まっていたストレスが火を噴きそうになる。ここ数年付き合っている仕事の担当者とどうも折りが悪い。先方は仕事を出す立場なので、別段どうということもないのだろうが、こちらには行き場のないストレスがどんどん溜まってきている。

ここを読むわけが無いので安心して書くが、一番頭に来るのは、二人で話しているとき、一般的な、当たり前のことを最上段から訳知り顔で説得されることだ。それに、頭の回転に問題があるのか、しばし打ち合わせの途中で黙り込み、いつも長時間かかっても数えるほどしか議事が進行しない。こちらは相手が黙り込んでいるときは、ついつい今週末の予定を考えたり、先週末の想い出に浸ることになる。

先日までは我慢出来たのに、一旦そう認識すると、相手のやることなすこと気に入らなくなってしまうから不思議だ。昨日はこちらの虫の居所も悪かったので、ついつい不機嫌が顔に出てしまった。先方もちょっと驚いていたようだ。

打ち合わせを終え、先方のオフィスを後にする。いくつかのドアを開けるときについつい足が激しくドアに当たってしまう。自分の車まで歩くとき、そこいらの物に蹴りを入れたり、誰もいないことを確認し、大声を上げてしまう。それでずいぶんスッキリとする。久しぶりの怒り爆発に少々自分でも驚く。

気を沈めてMGを運転し、家にたどり着く。家族の顔を見るとやはりホッとする。

今年は長男が中学に入学する。お祝いをかねて近場の旅館に一泊旅行をすることにする。下手に外食するより、健康保険の補助申請で旅館に泊まった方が安上がりなのだ。大浴場に息子達と何度も入れるし、朝食も付く。それに、帰りの心配をせずゆっくり飲める。今回はJTBの大部屋プランのパンフレットで選ぶ。知多の山海の「海栄館鯱亭」という旅館にすることにした。車で二十分足らずだろう。

パンフレットを皆で見ていたところ、一人プラス三千円で伊勢海老の丸焼きがついてくるらしい事を長女が発見。当然のごとく子供たちにせがまれる。パンフレットを見せなきゃよかった。子供たちに伊勢海老なんて食べさせた経験はないので、もの珍しさもあり食べてみたいのだろう。もちろん私も数えるほどしか食べた経験はないが・・・

私は子供たちにこんな提案をした。幸い手元には子供たちの三学期の通知票がある。

「じゃあ三学期の成績で決めよう。成績が少しでも上がった人、手を挙げて」

と言ってみた。

すると、中二の長女、小六の長男、小五の次女が勢いよく手を挙げた。今回は皆頑張ったもんな。

だが、一人小二の末っ子だけが寂しそうに下を向く。そして、他の三人が手を挙げているのに気づくと、テーブルに突っ伏して泣く真似をした。

「しょうがないなあ。私の小遣いから奮発してやるか」と思った瞬間、嘘のようにイライラが消えていた。