オイラーの公式



昨夜、というか今朝明け方、小川洋子の「博士の愛した数式 」を読む。前々から読みたかった本なので、静かな場所で邪魔されずに読める時間とタイミングを計っていた。幸い昨夜は酒も飲まず、そう疲れていなかったし、祭日前なのでいいチャンスだったのだ。とても落ち着いた良い本だと思うし、一気に読み上げたのではあるが、読後感は仲々複雑だった。

この本のキーとなる数式、「オイラーの公式」には私も大変思い入れがあった。高校時代にその式に初めて触れた時の感触は微かながら今でも思い出すことができる。その式の遙かかなたに広がる時間と空間を眩しく見つめた幼い自分を今でも振り返ることができるのだ。

なのでその「オイラーの公式」の唐突な登場シーンに少々ガッカリしてしまった。しかも式が<<>>で囲まれている。せっかくこのようなシンプルな式なのに。


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\Huge
\begin{displaymath}
e^{i\pi} + 1 = 0
\end{displaymath}
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そして博士にたとえ幻でも救いの時が訪れる事を願ったがそれもかなわなかった。

80分で消える記憶というのはどういうことなんだろう。80分より短いサイクルでリフレッシュされた記憶のみ残るというダイナミックラムのようなものだろうか。そもそも記憶には時刻という構造体のメンバが存在するのだろうか。博士はというか著者はそれを逆さ言葉のトピックによって示そうとしていたのだろうか。

読了後著者の略歴を見て驚く。同い年だった(笑)。

手軽に数学の奥深さに触れるのに最適な本はと尋ねられたら、ヒッポファミリークラブの「フーリエの冒険」と即答する。未知な世界の旅がしたい方、お勧めです。