80th 〜 忘れない日々

去年の秋ごろから学生の頃に聴いた歌がよく頭の中に現れる。いったいこれはなんの前兆だろうか。

そんなことを考えながら、妻子に付き合ってキムタクの連ドラをぼんやりと観ていた。すると唐突にエンディングテーマにすっぽりと包み込まれた。曲は山下達郎の「Ride On Time」。イントロ無しの歌の飛び込みを聴くと、心は静かに昔に還って行く・・

八十年代、活気のあった頃の日本。TE71HT のカーステレオはいつもお気に入りのカセットテープ。あの頃カセットテープは高かった。あちこちに出来始めたレンタルレコードショップ。新譜目当てにバイトの帰りに毎日のように通ったっけ。新しいLPに針を落とすときの緊張、テーブルの上は積もった埃と読みかけの新聞。

最近良く思い浮かぶ曲を書いてみる。

山下達郎「Sparkle」「Loveland,Island」
杉真理「いとしのテラ」「Catch Your Way」
大貫妙子「恋人達の明日」「チャンス」
原田真二「見つめて Carry On」「マジカルヒーリング」
ハイファイセット「水色のワゴン」「1999」
佐野元春「アンジェリーナ」「TONIGHT」
大滝詠一君は天然色」「FUN x 4」

など。見返すと短調の曲が無い。これは私が脳天気な時代を過ごしたからなのだろうか(笑)。

もちろん洋楽も狂ったように聴いていた。ボズスキャッグス、バンヘイレン、ドナルドフェイゲン、スティーリーダン、パットメセニー、アースウィンドアンドファイヤー、書き出すと切りがない。

狭い木造アパートでの一人暮らし。シングルベッドにコタツと机とオーディオだけの部屋。部屋で聴くのはフォービート、もしくはフュージョン。ピアノトリオやプラスギターなどの渋めのリズムセクションが好きだった。今も好きだけど。モンゴメリエバンス、ジョーダン、コリア、ウエザーリポート・・・これも切りがない。

バイトに明け暮れる日々。飲み屋のウェイター三年、塾の講師も三年間、平行して家庭教師(あの娘はもうお母さんだろうか?)、土日は引っ越しのバイト、稼いだ金はすべてデート代とガソリン代、あとはレコードとビール代に消えた。えっ、食費?、食事はバイト先で現物支給だった。アパートで自炊した記憶がない。部屋の食器はマグカップと磨き上げたタンブラーのみ。あとは紙皿に割り箸・・・

彼女達(今頃何をしているのだろう?)とのスキーや小旅行、仲間との海での焚火、明け方の一人のドライブ、ジャズ研の先輩に借りたコンタックスの衝撃、そういう想い出がまるでメロディの装飾品の様に次々と甦ってくる。みんながその当時の歳のままで。不思議と大学の研究室のことは思い出さない。まあ、つまらなかったからな(笑)。

ちょっと中古CD屋巡りでもしてみようかな。