それぞれの場所

今日は朝早く目覚めた。眠りも浅かった。

外に出ると、台風七号がすぐ南の海上に居るはずなのに、比較的穏やかだ。とはいっても、時折湿った重い突風が吹き抜ける。

子供たちは妙に明るく、元気がいい。暴風雨警報が出ているので、学校に行かなくていいからだ。解除後二時間以内に登校すればいいらしい。私もそうしたい。

私の通勤は車と徒歩で80分程かかる。天気が崩れてから行きたくないので、早めに出社することにした。しかし、会社に近づくにつれ、次第に風雨が激しくなる。最後の山越えで、ついに前が見えなくなり、安全な場所に車を止めてしばらく待った。

車外の音は雨音にかき消され、ウインドウを叩く豪雨で全く何も見えない。道路を川と化す激しい雨量。遠くで聞こえる雷鳴。永遠のような時間。そして誰もいない助手席。そこに漂う様々な想い......

何分ほど待ったことだろう、しだいに雨が弱まってきた。世界は明るさを取り戻す。どこからか、「ゲームは終わった」という声が聞こえてくる。自分の中で何かが音を立てて変わる。

さあ、何処に帰ろうか。