もうすぐ7万キロ

初期トラブルは多かったけど、ここ数年はほとんどトラブルはありません。不満は、維持費や部品代が、やはり高いこと、幌を開けるときに途中で引っかかること、幌が潰れてきたのか、窓を少し空けないとドアが開かないこと、ドアミラーを動かすノブが落ちやすいこと、アクリルの後部窓がクリアでなくなって来たことぐらい。

でもそんなことに目をつぶれるぐらい、この車が好きです。ステアリングを握るだけで、ストレスフリーな世界を体感させてくれるのです。それはアクセルのオンオフ、ブレーキングでもう分かります。一言で言うと、まとまりです。今まで乗った車には、どこかばらばらな感じがありました。そう、どこか......

黒いスパルタンでシンプルな内装に白いアナログメータ、手のひらを絶妙に刺激するディンプル付の皮巻ステアリング、ダブルクラッチのシフトダウンの時、背中から迫ってくる悲しいエンジンノート、行きたい方向にすっと頭を向けてくれるハンドリング、しっかりとロードホイールディングしてくれる足回り、車全身で制動してくれるブレーキング、適度に固く、サポート感のあるシート、病的な乗り心地を提供してくれるハイドラガスサスペンション、そして、白い雲と青い空。

ずいぶんこの車とは対話をした気がします。車に表情があり、話しかけると何時もきちんと返事をしてくれるのです。お節介は焼いてくれません。

ずいぶん彼女には励まされ、救われています。

明日もシートに腰を下ろし、セルモーターを回すと、「さあ、行きましょうか」という優しい声が聞こえてくることでしょう。