彩(エイジャ)



この二ヶ月間、公私ともきつい日々だった。だったではなく、まだきつい。

通院はしなくてよくなった物の、あまり改善しない病状。余裕のない、後戻りできない開発日程と友人の苦境を救えない自分。

夏休みは小四の末っ子の手術を控えている。つきっきりで看病するつもりだ。夏休み中の出勤も在りのんびりしている暇は無いだろう。

そんな中先週の土曜日、セントレアで来週手術の末っ子とデート。彼を病院に連れていった帰りの車の中で、「セントレアでも行くか〜」と叫んだら、彼もそのまま同じリズムで「セントレアでも行くか〜」と返してきた。帰宅のルートを変更してそのまま足を伸ばす。

今回のセントレアは直接車で行かず、常滑に車を停め名鉄電車で入ってみた。海の上を走る電車は夏を感じさせ、楽しい。が、窓がはめ殺しになっていて開かない。これでは、名鉄自慢のレトロ電車を空港線に走らせたいという夢は無理なようだ。

セントレア駅はホームまで空調が効いていて、明るく清潔な駅。これが名鉄の駅か?と驚くほど。

デジタルカメラ二台セットが入ったカメラバッグが幸い車内に有ったので、一台を末っ子に渡して、スナップすることに。私が対象物にE-300を向けると、彼もE-10RSを同じ方向に構える。

人には向けるなとか、構図を考えろとか、ワイド端で撮れとか色々教えながら飛行機や商店街、駅をスナップする。空港内は光が溢れ、どこに向けても綺麗な絵になる感じがある。離着陸を眺められる展望ロビーでは、彼を抱き抱えて手すりの上にカメラを出させて、テレ端で旅客機の着陸の瞬間の白煙が上がる所を撮らせる。

展望ロビーは暑い。新聞によると数日後に噴霧器が設置されたそうだ。子供たちは喜ぶだろうな。

3Fのサイエンスショップで、末っ子に宝石の原石のミニチュアセットを買ってやる。店員の対応が気持ちいい。

帰りはセントレアから一駅目のりんくう常滑という何も無い駅で降り、常滑駅まで歩いてみる。

りんくう常滑駅常滑駅の間には、大きな常滑競艇があるのだが、中を通ると近道なので、入場料百円を払い中に入る。ついでに冷房の効いた観覧席でレースを眺めてみる。株は買うが、サラ金と賭け事はしない主義なので、客観的に眺めるだけ。

冷静に回りを見渡すが、観客はそれ程盛り上がるでも無く、手に汗を握る感じも乏しく、淡々としている印象。末っ子は始めて間近で見るボートのコーナリングの迫力に驚いていた。今度は望遠で写真を撮ってみたいと思う。

彩(エイジャ)

常滑駅から帰りの車内のRADIO-Iで、スティーリー・ダンの「彩(エイジャ)」が掛る。思わすカーステレオの音量を倍にする。これも高校生の頃の想い出の曲。

ギターばかり弾いていたその頃の自分に戻れるよう。山口小夜子のジャケットが心に浮かぶ。あのLPはどこに行ってしまったのだろう・・・。などと考えているうちに曲は落ち着いたリズムが間奏で次第に盛り上がり、スリリングなギターソロの後、ウェイン・ショータースティーブ・ガッドの伝説となった掛け合い。そして世界を震撼させたガッドの独壇場のエンディング。天才が爆発した瞬間。今聞いても凄いの一言。